NEW RECYCLEデザインのヒント

May 31, 13 • No Comments

デッドストックのカップとラスクを組み合わせた、ラスクセット(価格 1,470円)。人気商品が生まれた背景を紹介します。

デッドストックのカップとラスクを組み合わせた、ラスクセット(価格 1,470円)。
人気商品が生まれた背景を紹介します。

シンプルながら、どこか不思議なたたずまいを見せるPASS THE BATONオリジナルのリサイクルプロダクト。「リサイクルだから」品質が劣るのではなく、「正規品を超える」ものづくりを目指しており、ひとつの商品が生まれるまでに、さまざまな試行錯誤が行われています。

今回は、PASS THE BATONのオープン当初からの人気商品「デッドストックカップとラスクセット」誕生の背景を、スマイルズ 遠山さんに語ってもらいました。

様々な背景により、デッドストックとしてねむっていたカップ。これをラスクと組み合わせたら、タワーのようなインパクトのある形になりました。この、ティータイムが楽しくなりそうなラスクセットは、一体、どこからやってきたのでしょうか?

麻ひもを結んだら、次の世界観が見えてきた

スマイルズ 遠山正道さん。PASS THE BATONのオリジナルプロダクトは、アイデアから出来上がりまで、すべて遠山さんと制作チームとで話し合いながら完成させます。

スマイルズ 遠山正道さん。PASS THE BATONのオリジナルプロダクトは、アイデアから出来上がりまで、すべて遠山さんと制作チームとで話し合いながら完成させます。


遠山さん:もともと僕自身、骨董品が好きで、江戸後期くらいの蕎麦猪口を使っていました。すごく素敵なんだけど、商品として売るのはちょっと敷居が高いような印象があって。ましてやプレゼントやギフトにしようという発想は生まれにくい。骨董屋だと、「リボンはかけてくれないだろうな」みたいな(笑)。

この蕎麦猪口を、PASS THE BATONのお店でよい感じで扱えないかなと思って、ある日、自宅で二つ重ねて、麻紐でちょっと結んでみました。ちょっと大きめのタグを手づくりして、それを蕎麦猪口につけてみたら、急に蕎麦猪口がプレゼントになりうる気がしたのです。

そのとき感じたのは骨董品としての価値じゃなくて、「新品よりむしろ素敵に見える」「古いからこそ、なおいい」ということでした。ちょっとこう、次の世界観に行ったような。街の雑貨屋さんみたいなところではなかなか出会えない、一点物のよさをあらためて実感できるような雰囲気でした。

真夜中の実験「そうだ、おまけをつけてみよう」

でも、麻紐で結んだ蕎麦猪口は、まだちょっと「敷居が高い」と感じました。これをもっと気楽に、プレゼントにできるようなものにならないかなと考えました。

僕は、夜、寝ているときにいろいろ考えるクセがあって。その日もベッドで寝ていたら、ふと、「そうだ! 蕎麦猪口にお菓子を、おまけとして、くっつけてみたらどうだろう」って思いついたんです。

夜中に起き出して、何件かのコンビニに行きました。一番近くのお店にいい感じのお菓子がなくて、ちょっと遠いお店まで行ってチョコレートやお煎餅を買ってきて。蕎麦猪口に詰めてみました。

おまけだし、はじめはお菓子をちょっとだけ詰めればいいかなと思っていたんですけど、やってみるとなんだか迫力がない。どんどん詰めていったところ、いつの間にか「なんだ、お菓子のほうがでかいじゃないか」という状態になってしまったんです(笑)。

で、それに、手書きでつくったタグを付けて。次の日、会社でみんなに「これどうかな?」って見せたら、「なんですか、これ?」って。最初は微妙な反応でした(笑)。

瀬戸で出会った「宝の山」

はじめはアンティークのカップをサンプルにしてみたのだけれど、そうではなく、デッドストックのカップを使うという方法もあるんじゃないかなと考えました。それで知り合いの陶器屋に相談してみたところ、「そんなもの瀬戸にいくらでもあるよ」と言うことでした。

それで、瀬戸に行ってみたんです。そうしたら、もう忘れ去られているような倉庫での天井まで古い木箱がうわーっと積んであったんですよ。窓や光が漏れでていて、本当に神々しい感じ。

瀬戸の倉庫の様子。

瀬戸の倉庫の様子。

山積みの箱の中に、デッドストックの器たちが眠っている。

山積みの箱の中に、デッドストックの器たちが眠っている。

まさに宝の山。引っ張り出してみると、あやしいものがあるんですよ、ロココ調のティーカップみたいなのとか。「こんなの誰が使うの?」っていうような(笑)。その一方で、ごく普通の、白いシンプルなマグカップなどもたくさんあって。

40年ぐらい前、高度成長期のころ、日本は輸出用に磁器をたくさん作っていたんですね。ところが、中国や東南アジアの安い磁器がたくさん出回るようになって、売れなくなってしまったわけです。そういうのが倉庫に残っていました。

それで、その古いカップを持ってきて、お菓子は知り合いのお菓子屋さんに大きなラスクを作ってもらって、現在のラスクセットの形が生まれたんです。

NEW RECYCLEが生み出すハピネス

この、遠山さんの思いつきと実験をきっかけに生まれたラスクセットは、やがて、テレビや雑誌などにも紹介され、ヒットアイテムに。PASS THE BATONを代表する、人気定番商品のひとつとなりました。

これまで、不良在庫として抱えるか、コストをかけて処分していたものが、クリエイティブなアイデアによって、商品となり売ることができるようになるという事は、メーカーにとって大きなメリットです。また、購入する人にとっては、正規品以上にユニークな商品に出会うことができます。

PASS THE BATONが考える、メーカーにもお客さまにもハッピーなNEW RECYCLE (ニューリサイクル)。この取り組みを、様々なクリエイターと一緒にひろげていくのが、「1万人のクリエイターミーツPASS THE BATON」のプロジェクトです。

ただいま、3つのテーマでアイデア募集中です。クリエイターの皆さんからのアイデア・チャレンジをお待ちしています。

Tags: ,

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>